◇インフルエンザと風邪を見分けるには
一般の風邪よりインフルエンザのほうが全身に強い症状が出るケースが多く、
咳や痰、喉の痛み、鼻水のほかに、おもに次のような症状が特徴です。
●38〜39℃の高熱
●頭痛
●倦怠感
●筋肉痛
●関節痛
●悪寒
風邪の場合は感染したウィルスの種類によっても異なりますが、喉の痛みや腫れ、
鼻水、鼻づまり、咳、痰などがおもな症状で、比較的軽症で回復するケースが多いようです。
◇何月頃から気をつけたらいいの?
インフルエンザウィルスは低温(気温15〜18℃以下)・乾燥(湿度40%以下)の環境を好みます。
そのため日本では11月から3月にかけて、インフルエンザウィルスが空気中で飛散する量が増加します。
毎年、このシーズンにはインフルエンザの患者数が急増します。
ですから、シーズン前から予防を心がけることが大切です。
◇どういう状態になったら病院へ行った方がいいの?
インフルエンザウィルスに感染し、粘膜がウィルスを闘い始めた後、数時間から1〜2日経つと
初期免疫が働き、ウィルスに感染した細胞をやっつけにかかります。さらに3〜5日くらい後、
やっつけきれなかったタフなインフルエンザウィルスに対する特異的免疫機構が働き、通常は約1週間で回復します。
以前は、インフルエンザの治療は、症状を和らげ体を暖かくして、自身の免疫力で回復するのを
見守っていましたが、2001年からいくつかの抗ウィルス作用を持つ薬が使われるようになり、
大きく変わりました。これらの薬は感染直後に用いると、インフルエンザによる症状を軽く抑えることができます。
したがって、かかったなと思ったら、すぐに医師に相談するのもひとつの方法です。
※お年寄りは程度や期間にかかわらず医師の診察を!
抵抗力が弱くなっているお年寄りは症状の程度や期間に関わらず、インフルエンザが疑われた段階で
医師の診察を受けて下さい。とくに糖尿病や腎臓病、肝炎などの持病を持っている人は合併症を起こして
命を落とす危険もありますから注意して下さい。
※合併症が疑われるときは早急に病院へ!
インフルエンザの合併症としては、細菌の感染によって起こる気管支炎や肺炎、髄膜炎などがあげられます。
次のような症状が出たときは合併症が疑われますから、早急に病院へ行くようにしましょう。
●高熱
●膿のような痰
●嘔吐
●けいれん・・・など
◇熱を下げる方法ってあるの?
発熱はウィルスを殺そうと免疫機構が闘っているために起こる体の自然な反応です。
ですから、無理に熱を下げるとウィルスが排除されず、回復が遅れることがありますから注意が必要です。
ただし、これはインフルエンザの初期の段階の事で、発熱が長引くときは解熱鎮痛効果の高い風邪薬で
熱を下げて下さい。また、39℃を超える高熱が出ると体力が消耗され、免疫機構の働きも低下しますから、
水分を十分に補給し、同様に熱を下げる治療を行ないます。症状が長引くようであれば、他の感染症にも
かかっていることが心配されますので、医師の診察を受けてください。
薬以外には、おでこや脇の下、足の付け根などを水か濡れタオルで冷やすと効果的に熱を下げることができます。
◇インフルエンザに効く薬は?
従来、インフルエンザの治療には医師が処方する薬も市販薬も、症状を緩和させる薬が使われていました。
ところが98年末〜2001年にかけて、日本でもインフルエンザウィルスを攻撃する抗ウィルス薬「シンメトレル錠」
「リレンザ」「タミフルカプセル」などが認可されました。また、10分でインフルエンザか否かを判定する試薬もできました。インフルエンザの治療も様変わりつつありますので、医師に相談して下さい。
◇食欲がないときどんなものを食べればいいの?
インフルエンザにかかると、どうしても食欲がなくなりがちです。しかし、栄養を摂らないと体力が低下してしまい、
免疫機構の働きも落ちてしまいます。インフルエンザを早く回復させるためには、少量でも構いませんから
栄養を摂ることが大切です。とくに高熱が出たときは発汗によって脱水症状が起こりやすくなりますから、
白湯やお茶、ホットミルク、ジュースなどで十分な水分補給を心がけて下さい。
インフルエンザで食欲がないときの食事としては、消化がよく、温かい料理をおすすめします。
インフルエンザにかかったときは胃腸機能も弱まっていますから、脂肪分を多く含む食品、香辛料などを
使った刺激の強い料理は避けて下さい。
《食欲がない時のおすすめの食事》
●スープ
●湯豆腐
●煮込みうどん
●雑炊
●お粥
●白身の煮魚・・・など
◇インフルエンザを予防するには?
インフルエンザが猛威をふるうシーズンには、インフルエンザウィルスが空気中にたくさん浮遊しているため、
直接的な予防法としては人がたくさん集まる場所を避けることが有効です。
吸い込んだインフルエンザウィルスをすぐに洗い流せば、感染のリスクをある程度低くできますから、
外出先から帰ったらすぐにうがいをする習慣を。また、ウィルスがついた手から口を通って感染する
ケースも多いので、手洗いをこまめに。インフルエンザを予防するには、ワクチンの接種とともに普段から
抵抗力を高めておくことが大切。次のことを心がけて下さい。
●規則正しい生活を!
●自分に合ったストレス解消を!
●栄養バランスの良い食事を!
●軽い運動や乾布摩擦を!
通常、インフルエンザのかかり始めには、のどや鼻の違和感などを覚えます。
インフルエンザは症状が進行するほど治りにくくなり、重症化する危険が高まりますから、
この初期の症状を見逃さないことも重要です。
初期症状がみられたら、頻繁にうがいをし、栄養バランスのとれた食事を摂って、早めに睡眠をとるようにしましょう。
※ウィルスに対抗するにはまず体力!
◇どうしてお年寄りが重症化しやすいの?
インフルエンザが重症化しやすいかどうかには、抵抗力が大きく関わります。
インフルエンザウィルスが気道に侵入すると、体は異物としてとらえ、次のような3段階の働きをします。
T、粘膜が排除する・・・喉や鼻の粘膜などがウィルスを闘った結果、喉の腫れ、鼻水、鼻づまり、咳などが起こる。
U、免疫機構が働く(初期の免疫)・・・まず、リンパ液や血液などの中にある抗菌性の物質によって、
ウィルスが殺される。さらに白血球の中の好中球や顆粒球、マクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞などが感染した細胞を排除する。これらの細胞はウィルスや細菌を特定せず、相手かまわずやっつける。
V、特異的免疫機構が働く・・・インフルエンザウィルスと闘うスペシャリスト、T細胞、
特異的抗体(インフルエンザウィルスのみを攻撃する抗体)などが働き、インフルエンザが体内から除去される。
抵抗力が高い人ほどインフルエンザにかかりにくかかっても早期回復します。
お年寄りの場合、老化によってこの働きが弱っているために重症化しやすく、
さらに他の細胞にも感染して、肺炎などを起こしやすくなります。